ジムニー、特にJB23型において、走行中にステアリングが激しく振動する「ジャダー(シミー現象)」が発生することがあります。60km/h〜80km/hの特定速度域で発生し、恐怖を感じるほどの振動が車体全体を襲いますが、これは車両の寿命ではなく、特定部品の摩耗を示す明確な整備サインであり、適切な修理によって完治可能です。
本稿では、なぜこの現象が起きるのか、そのメカニズムと、完治させるための修理コストについて解説します。
ジャダー(シミー現象)が発生するメカニズムとは?

キングピンベアリングの摩耗とプリロード不足
ジムニーのリジッドアクスル構造では、「キングピン」と呼ばれる回転軸を支点にナックル(タイヤが取り付けられる部分)が操舵される仕組みになっています。長年の走行により、このキングピンを支えるベアリングが摩耗したり、プリロード(予圧)が低下したりすることが主な原因です。
特定速度域での共振現象
ベアリングの摩耗により、タイヤの回転に伴う微細なブレを抑制できなくなると、サスペンションやステアリング系統と共振を起こします。これが60km/h〜80km/hといった特定の速度域で増幅され、激しい振動(ジャダー)となって現れます。
ホイールバランスとタイヤの偏摩耗
基本要因として、タイヤのホイールバランスの狂いや偏摩耗も振動の引き金になります。ただし、ジムニーのジャダーに関しては、これらはあくまで「きっかけ」であり、根本原因はキングピン周辺の保持力低下にあることが多いとされています。
ステアリングダンパーの役割と限界
ステアリングダンパーを追加・強化することで症状を抑え込む手法もありますが、これは対症療法に過ぎません。内部の摩耗を放置してダンパーで振動を吸収しているだけの場合、根本的な解決にはなっていない点に注意が必要です。
ジャダー修理の費用と内容は?

フロントアクスル・オーバーホールの詳細
根本解決には、ナックル周辺の分解整備(オーバーホール)が必要です。具体的には、キングピン、キングピンベアリング、ハブベアリング、各種オイルシール類を新品に交換し、適切なグリスアップと調整を行います。
整備工場における費用目安
JB23型の事例では、技術料(工賃)と部品代を含めて約15万円(税込)前後の費用がかかるケースがあります。
- 技術料:約8万円(アクスル分解、洗浄、圧入、アライメント調整など約7時間)
- 部品代:約5万円(ベアリング、シール、ボルト類)
- 油脂類他:約2万円
簡易修理と完全修理の違い
工賃込み4万円〜7万円程度の簡易的な修理事例も存在しますが、再発リスクがあります。あと10万キロ乗り続けるつもりであれば、シール類やハブベアリングまで含めたフルオーバーホールが推奨されます。
オーバーホール後の走行フィール変化
適切にオーバーホールされた車両は、ベアリングやハブが一新されるため、新車時に近いしっかりとしたハンドリングを取り戻すことができます。
誤解されやすい点
「ジャダーが出たら廃車」と考えるオーナーもいますが、これは誤りです。消耗品であるベアリングを交換すれば機能は回復します。構造上避けられない「持病」ではありますが、治療可能な症状です。
一般論による補足
リジッドアクスル車においてシミー現象は珍しいことではありませんが、ジムニーはその軽量さと構造的特性から、特定の条件下で発生しやすい傾向にあります。
内部リンク
このような高額な修理を行っても維持する価値があるかについては、15万キロ走行のジムニーに修理費をかける価値はあるか?で、リセールバリューとの比較から分析しています。
免責文
提示した修理費用は一例であり、整備工場や車両の状態により異なります。正確な見積もりは整備工場へご依頼ください。