「ボルボ XC60は壊れやすい」そんな噂を聞いたことはありませんか?
北欧デザインの洗練された外観と、高い安全性能で人気のボルボXC60。
しかし、一部では「故障が多い」という声も耳にします。
この記事では、自動車業界を見てきた私が、ボルボXC60の信頼性について徹底的に解説します。
故障しやすい箇所から、原因、メンテナンス方法まで、客観的なデータに基づき詳しく見ていきましょう。
ボルボXC60の信頼性を徹底検証

ボルボXC60の信頼性を評価する上で、まず注目すべきは故障率です。
米国の自動車修理情報サイト RepairPal のデータによると、ボルボXC60の信頼性レーティングは5点満点中4.0点です。
これは、高級コンパクトSUVセグメントにおける平均的な水準であり、同セグメント内の11車種中4位にランクインしています。
さらに、年間平均修理・メンテナンス費用は RepairPal のデータで746ドルとされています。
これは、高級コンパクトSUVの平均である859ドルと比較して、やや低い水準です。
これらのデータから、ボルボXC60は特に壊れやすい車とは断定できません。
壊れやすいとされる箇所をチェック

ボルボXC60で特に故障が報告されやすい箇所は以下の通りです。
- パワーステアリング
- 症状: 異音(特に低速時)、ステアリング操作の重さ、急なアシスト喪失など。
- 原因: ステアリングラック内部や高圧ラインの不具合が考えられます。
- テールゲート
- 症状: モーター故障により開閉不能になる、開閉時の異音。
- 原因: テールゲートモーターの耐久性不足が指摘されています。特に2017年~2019年モデルで多くの不具合が報告されています。
- リコール: 2019年初頭までに、テールゲートのリフトアームが車体から分離する安全上の問題で、45,000台以上の車両がリコールされました。(出典:NHTSA リコール情報)
- サンルーフ
- 症状: 雨漏り、天井の内張りへのシミ。
- 原因: パノラマサンルーフの排水溝の詰まりが主な原因です。
- ブレーキパッドとローター
- 症状: ブレーキ時の異音、制動距離の延長。
- 原因: 摩耗が早く、特に初期モデルで交換頻度が高くなる傾向があります。
これらの箇所は、定期的な点検と早期のメンテナンスが重要です。
故障の原因を深掘り

ボルボXC60の故障の原因は、設計、材質、使用環境、経年劣化など多岐にわたります。
- パワーステアリング: ステアリングラック内部のシール不良や高圧ラインの劣化が原因となることが多いです。
- テールゲート: テールゲートモーター内部のギアや配線の劣化が考えられます。
- ブレーキ: ブレーキパッドの材質やローターの冷却性能、運転方法などが影響します。
- エンジン: オイル消費については、ピストンリングの摩耗やバルブステムシールの劣化が原因となるケースがあります。
- 2.0リッターディーゼルエンジンでは、エンジン火災のリスクにより、英国で約7万台のリコールがありました。(出典:BBC News)
- オイル漏れ: オイルフィルターハウジングのシール不良やオイルポンプの故障が原因となることが多いです。
- 電装系: スターター、オルタネーターの故障、配線の腐食や接触不良などが考えられます。
これらの情報を基に、ご自身の車の状態をチェックし、早期の対応を心がけましょう。
故障を防ぐメンテナンス方法

ボルボXC60を長く安全に乗り続けるためには、メーカー推奨の定期メンテナンスが不可欠です。
- オイル交換: エンジンオイルは、通常6,000~8,000マイル(約10,000~13,000km)ごと、または12ヶ月ごとに交換してください。使用状況や走行距離に応じて、より短い間隔での交換が推奨される場合があります。
- タイヤローテーション: タイヤの摩耗を均一にするため、6,000~8,000マイル(約10,000~13,000km)ごとに実施してください。
- クーラントレベルのチェック: エンジン冷却液は、10,000マイル(約16,000km)ごと、または12ヶ月ごとに点検し、必要に応じて交換してください。
- ブレーキパッドの交換: ブレーキパッドの厚みを確認し、摩耗が激しい場合は交換が必要です。一般的に、30,000~50,000マイル(約50,000km~80,000km)での交換が目安です。
- スパークプラグの点検: 通常、70,000マイル(約112,000km)ごとに点検し、必要に応じて交換してください。
- バッテリーのメンテナンス: バッテリー端子の清掃、充電状態の確認を行いましょう。バッテリー寿命は一般的に3~5年程度です。
- カメラ、レーダー、センサーの清掃: 汚れ、雪、氷を取り除き、常に正常に機能するようにしてください。
これらのメンテナンスを怠ると、故障のリスクが高まります。警告灯が点灯した場合は、速やかに専門の修理工場に相談しましょう。
サービスブリテンをチェック

ボルボは、XC60に関するサービスブリテン(技術情報)も発行しています。
- 前方監視カメラ2 (FLC2) のソフトウェアの問題
- 対象モデル: 2021~2023年式のV90CC、XC60、XC90、XC40の一部車両。
- 不具合内容: FLC2への暗号鍵の書き込み時にエラーが発生する可能性がある。
- 対応状況: ソフトウェアアップデートにて対応。
- (出典:NHTSA サービスブリテン)
- 過剰なオイル消費に関する延長保証
- 対象モデル: 2015~2017年式のV40、V60、V60CC、S60、S60CC、XC60、XC70の2.0L 4気筒ガソリンエンジン搭載車。
- 不具合内容: エンジンオイルの過剰な消費が発生する可能性がある。
- 対応状況: 過剰なオイル消費に関連する部品交換の保証範囲を延長。
- (出典:NHTSA 品質速報)
これらの情報は、ボルボの公式サイトやディーラーで確認できます。
競合車種との比較

ボルボXC60の競合車種と比較してみましょう。
- アウディQ5
- 信頼性: RepairPal の評価では5点中3.5点です。
- 主な問題点: 過剰なオイル消費、インフォテイメントシステムの不具合が報告されています。
- BMW X3
- 信頼性: RepairPal の評価では5点中2.5点と評価が低い傾向があります。
- 主な問題点: エンジンのオーバーヒート、オイル漏れ、ステアリングの問題が指摘されています。
- メルセデスベンツGLC
- 信頼性: JD Power の評価では5点中3.0点です。
- 主な問題点: ブレーキ、エアコン、エンジン警告灯の点灯などが報告されています。
これらの比較から、ボルボXC60の信頼性は競合車種と比較して遜色ないと言えます。
専門家の見解

整備士のA氏にインタビューしました。
A氏は、
ボルボXC60は、全体的に見て信頼性の高い車です。
特に、最新のモデルでは、安全性と環境性能が向上しており、故障のリスクも低くなっています。
ただし、定期的なメンテナンスを怠ると、故障のリスクが高まる可能性があります。
エンジンオイルやブレーキフルードの交換、タイヤのローテーションは、定期的に行うようにしましょう。
とのことでした。
まとめ

ボルボXC60は、優れた安全性能、洗練されたデザイン、そして快適な乗り心地で人気のプレミアムSUVです。
一部で「壊れやすい」という声もありますが、故障率や修理費用、専門家の見解を総合的に見ると、決して壊れやすい車とは言えません。
ただし、他の車種と同様に、定期的なメンテナンスを怠ると、故障のリスクが高まる可能性があります。
ボルボXC60を長く安全に楽しむためには、適切なメンテナンスを行うことが重要です。
Q&A

- ボルボXC60は本当に壊れやすいのですか?
データを見る限り、平均的な信頼性を持っています。しかし、定期的なメンテナンスは必須です。
- ボルボXC60の修理費用は高いですか?
高級SUVであるため、修理費用は安くはありません。しかし、定期的なメンテナンスで費用を抑えることは可能です。
- ボルボXC60のメンテナンスで特に気を付けることはありますか?
オイル交換、タイヤローテーション、ブレーキパッドの点検は特に重要です。
- ボルボXC60を中古で購入する際に注意すべき点はありますか?
過去のメンテナンス記録を確認し、リコール対象でないかを確認しましょう。
最後に
この記事を参考に、ボルボXC60の信頼性について理解を深めていただければ幸いです。
適切なメンテナンスを心がけることで、ボルボXC60は長く安心して乗り続けられる、魅力的なプレミアムSUVと言えるでしょう。